好きと言えるその日まで
 雨の日に。


 走り込みだけって言って、野球部の人が体育館を走ってた。


 私たちバド部の面々は、そんな様子に戸惑いながらもいつも通り練習してて。


 とにかくシャトル当てないようにって注意しながら練習してた。


 もちろん、落としたシャトルなんてみんな放置。


 当たり前だけど。


 それなのに……先輩は。


 西村先輩だけは、私が打てずに落としたシャトルを拾って渡してくれた。


 言葉もない、笑顔もない。


 でもそれがすごく嬉しかった。


 打ち返せずに、落としてばかりだった私にはそれはたまらなく嬉しかった。
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