好きと言えるその日まで
 私と西村先輩の接点なんてその一回だけ。


 後は何もない。


 ただ私が遠くから見つめてるだけ。


 キャプテンみたいに目立たないけれど、副キャプテンとして頑張ってる姿とか。


 こっそり後輩に相談されてるところとか。


 そんな頼りにされてる先輩をこそこそ見て、勝手にカッコいいって眺めてるだけ。


 だから私が目蓋を閉じて映る、彼の残像は……


 ボールを投げた時の瞬間の力強い腕と。


 野球をするみんなの姿を熱く見つめる視線と。


 それから―――
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