好きと言えるその日まで
 ―――けど。


 現実はやっぱり甘くなかった。


 「どーこー!?」


 泣き叫びたくなるのも無理はない。


 だって私の入学した高校は、学年10クラスを誇る割と大きな学校だからだ。


 自分のクラスですら精一杯な私が、同じ一年はおろか2年生を網羅するなんて到底無理な話で。


 入学ほやほやの私が、各クラスに殴り込みに言って虱潰しに探す訳にもいかず。


 その上、偶然でも会える確率なんてかなり低い。


 中学校と違って全校集会もない。


 つまりは―――一緒の空間で出会う機会がないのだ。
< 9 / 72 >

この作品をシェア

pagetop