約束の空【完】

「お前が入学してオレの生徒になった時からずっと、だ」


先生はあたしを見つめ言った。


「う、そ…」


先生の言葉が信じられなかった。


だってあの時、背中を押してくれたのは知輝先生だったんだから…。


「嘘じゃないって。でも浩太先生のツライ過去、オレは知ってる。だから琴海なら浩太先生のこと任せられると思ったから、だから引いたんだ」


“でも…”と、あたしから目を逸らした先生。


「やっぱり言わずにはいられなかった、悪い」


そう言って申し訳なさそうに謝った。


「いえっ、そんな…」


正直なんて言ったらいいのか分からなかった。


「あっ、でもさ!お前を困らせようとかそんなんじゃないんだ!ただオレが前に進むために
言わなきゃって。だからこれからも普通に接してくれよな?」


いつもの先生だった。
< 117 / 138 >

この作品をシェア

pagetop