私の初恋はセンセイでした。
あ、ついセンセイにこんな口をきいてしまった。
「…あの、古谷センセイ、今のどういう意味ですか?」
にっこりと微笑むと、センセイは私をじっと見つめてから、ため息をついた。
「なんだ、お前は違うのか。
…良かった。」
…私の質問は、無視なわけ?
「…まぁいいです。とりあえず、教えてくれません?宿題のとこわかんないんで。」
ノートに挟んであったプリントを取りだし、椅子に座って筆記用具を取り出す。
センセイはふぅ、と再びため息をつくと、私の隣に座った。
「お前、数学苦手なの?」
「ええ。数学と科学だけ、すきになれなくて。」
嫌みのように“数学”を強調していった。
「…ふっ…お前、おもしれぇ。」
多分、これは本心だと思う。
さっきみたいに、嫌みったらしくない。