私の初恋はセンセイでした。
センセイがつかんでいる手元をみると、目に留まったのは…傷跡。
「…っあ!」
パシッ
センセイの手を振り払い、手首を隠す。
そう、センセイが見たのは少し前にやったリストカットの跡。
「お前、なんか苦しいこととかあるわけ?」
眉間に皺を寄せて、私をじっと見つめる。
「……っ…」
私は何も言えなくて、ただ下唇を噛み締めて、俯いていた。
…言う必要がないじゃない。
ついこないだ来たばかりのセンセイに、私の家庭事情を言えってこと?
…ふざけんなっ。