甘い蜜
優しい手
それから数日経ったある日の事。
それは突然やってきた。
「ありがとう。また来てね」
あたしは2人目の指名客を見送り、待機室に戻ろうとしていた時のこと。
「雅ちゃん、指名きてるよ」
黒服があたしを呼び止めた。
ーーー指名?
今日は2人しか指名は来ないはず。
何も連絡無しにやって来る指名客の顔が思い浮かばない。
あたしは黒服に案内されるまま、3人目の指名客の元へ向かった。
そこにいたのは、凛と智哉。
そして向かい合わせで座っている、翔琉だった。
ーーーどういうこと?
あたしは訳がわからず、凛を見た。
でも凛は悪戯に小さく笑っただけ。
ーーーどうなってるの?
状況がよくわからないまま、あたしはゆっくりと翔琉の隣に座った。