僕が好きだった彼女
 気がつくと、目の前には僕が倒れていて、僕は彼女だった。僕の身体はどこかに運ばれていき、僕は彼女の両親に連れられて、この家に着いた。

 鏡を見る。彼女だ。
 僕は死んだらしいと聞いた。痴漢から、彼女を守り、死んだんだから、きっといい最後さ、と思うことにした。

 さて、と。
 これから、僕は彼女として生きていかなければならない。僕は彼女の事を全く知らない。
 僕が知っているのは、彼女のこの綺麗な顔。それだけ。どうしよう・・・と、呟いて、初めて彼女の声を知る。
 身体に触ってみようとして、留まった。なんだかとてもいけない事のような気がした。

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