Dear...

私は、ﾛﾋﾞｰでしばらく話をしながら、自然とあの人の話題を切り出した。

「そういえばさ、あの人って今、授業中？」

「あー、うん。何かね、この時間で終わりみたいだよ。いつも木曜は、この授業終わると帰っちゃうもん。」

「そっかー。今日って木曜だったっけ。去年と時間割あまり変わってないの？」

「ﾃｷｽﾄは変わったけど、先生がほとんど同じだから時間割も似たようなもんだよ。」


私にとって、木曜日は特別な日だった。

―――必ず、あの人と話が出来る日だったから。

二人とも授業と授業の間に空き時間があった。だから、いつも会いに行った。


「大学入ってから、彼に会ったの？」

「え、いや…別に、会ってないけど。」

「好きなんでしょ？」


唐突な言葉に、返事が出来なかった。

だが、私の返事を待たずに、彼女は私が一番気掛かりだった事を告げた。