Dear...
「来年はもう、彼が何処にいるか分からないかもしれないんだよ?
…今年しかないじゃん。
それとも、何もしないうちから諦めてんの?」


彼を好きだとバレていた事に、驚いた。けれど、彼女にならバレる可能性があった。予備校で、いつも一緒にいたから。


「諦めたくはないんだけど、どうしたらいいのか分からないし。」


もう、あの人との接点は消えかけている私は、今日会えればいい方だと思っている自分に気付いた。


「…んー。わざわざ、“友達に会う”っていう口実まで作って来たからには、アドレスくらいは聞くんでしょ?」

「違…っ、本当に遊びに来たの!彼は関係ないって!!」

「へぇー。まぁ、そういう事にしておくわ♪」


顔を赤くして反論する私を面白がる彼女は、去年知り合った時から変わっていない。

変わったのは、むしろ、私の方なのかもしれない。



その時、授業終了を告げるチャイムが鳴り、私達の会話が遮られた。
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