Dear...
それは、大学に入学した年の春の事。
私は、やっと、あなたを好きだったのだと気付いた。


ただ、自力でそれを恋だと認識したわけではなかった。


「いっつもさ、その人の話ばっかりしてるよね。」

「え、ごめん。そうかな…」

「いや、よっぽど好きなんだなーって思ってさ。」

「好き?だって、別に、気付いたら話してただけだし。」

「何言ってんの。自分でも訳が分かんないくらい、誰かの事ばっかり考えてたらさ…」

――それはもう、恋でしょ?

そんな友人との会話をした時、どうしてそんな簡単な事に気付かなかったのか不思議なくらい、納得してしまった。
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