Dear...
ペンで、自分の名前と携帯番号、アドレスを紙の裏に書くと、半分に折り、講義室へ向かった。

やっと、ここまで来た。

もっと早く好きだと気付いていれば、アドレスを聞く事だけにこんなに時間をかけないで済んだかもしれない。


「あの…」


講義室の前には、既に用を済ませた様子の彼がいた。


「あー、ありがとう。家帰ったら、すぐメールするから。」

「ぁ、はいっ。それじゃあ、また。」


急いでないのに、バタバタと慌ただしくその場を去る。

恥ずかしいような、嬉しくてどうしようもないような、そんな不思議な感じがして、階段を軽快に駆け降りた。

ロビーでは友達が待っていて、テンションが上がった私を見て、にこやかに笑ったのだった。
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