Dear...
ただ、自覚できて良かった…とはならない。
その時私は、予備校で知り合った人と付き合っていたのだ。


大学生になったら付き合って下さい。

と告白されたので、合格が分かった瞬間から付き合う事となった。

試験が上手くいかなかった私は、彼の告白を軽く聞き流しながら、

合格したらね。

と適当な返事をしたのだ。


ただ、それだけ。


元からかなり仲が良かったので、付き合い始めてから毎日のようにメールをしたり、時間が合えば一緒に帰ったり。
それらが楽しくなかったわけがない。

でも、予備校の思い出を語る時いつも話に出て来るのは、彼ではなかった。


予備校は、あの人と出会った場所でもあったから。

私の中では、あの人との事しか、大事な記憶ではなかった。
話した内容や、表情。

どうしても忘れられないのは、やはりあなたの事だけで。
< 3 / 106 >

この作品をシェア

pagetop