Dear...
でも、好きなのかすら分からない相手と付き合うのに、特に抵抗はなかった。

二人とも同じ大学に受かった事を知った彼が、驚く程に喜んでいても
私の心はそんなに浮かれてはいなかった。

その時からだろう。

流れで付き合う事になった彼の事を、私だけが私の中で勝手に

ちょっと仲が良すぎるくらいの“男友達”

と考えるようになったのは。

だから、付き合うのは苦にならなかった。


彼の事は好きだ。
他の友達よりも一段高い、“好き”。


でも、胸が苦しくなる“好き”は…あの人だけ。


「こんな気持ちになるくらいなら……」


あのセリフを、今なら心の底から、気持ちを込めて言える気がした。
< 4 / 106 >

この作品をシェア

pagetop