Dear...
彼の授業は、楽しかった。嫌いな教科だったのに、初めて授業を面白く思えた。
だけど、やはり苦手なのに変わりはなく、ちょこちょこ問題に引っ掛かっては、ペンが止まっていた。
質問―――をすればいいのに、今までろくに質問に行った事がなかったため、なかなかタイミングが掴めない。
それでも、自力で考えるのに限界があるものが出てきてしまった。
半ば、おどおどした様子で授業後の教壇に近付いていくと、彼と目が合った。
『どうした?…質問か?』
優しく笑いかけながら私にそう声をかけた先生は、私の手元のテキストを見つめた。
『あの…分からない問題があるんですけど……いいですか?』
『うん。どれだ?』
それが私と彼の初めての会話だった。
だけど、やはり苦手なのに変わりはなく、ちょこちょこ問題に引っ掛かっては、ペンが止まっていた。
質問―――をすればいいのに、今までろくに質問に行った事がなかったため、なかなかタイミングが掴めない。
それでも、自力で考えるのに限界があるものが出てきてしまった。
半ば、おどおどした様子で授業後の教壇に近付いていくと、彼と目が合った。
『どうした?…質問か?』
優しく笑いかけながら私にそう声をかけた先生は、私の手元のテキストを見つめた。
『あの…分からない問題があるんですけど……いいですか?』
『うん。どれだ?』
それが私と彼の初めての会話だった。