Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
6. 2つの心-雪貴-
「雪貴、起きろよ。
今日も学校だろ、もうすぐ6時だ」
体を揺すりながら、
俺を呼ぶ声が聴こえて、
重怠い体をゆっくりと兄貴のベッドから起こす。
視界に映るのは……託実さん……。
慌てて「託実さん……」っと名を声にした。
「昨日連絡できれば良かったんだが、
今日の夜、霞ヶ丘でシークレットが決まった」
「霞ヶ丘……兄貴たちがインディーズの頃から世話になってますよね。
今日は5月18日。
あぁ、ライヴハウスが出来た記念日なんですよね。
いいですよ。
試験前だから、夕方17時までには解放されると思うんで。
俺、現地集合でいいですか?
今日のセトリだけメールください」
あっ……空白の時間になってたスケジュールだけど、
いきなりAnsyalのシークレット。
託実さんの用事は、俺にとって心をざわつかせる。
そんな心を隠しながら、
ベッドに眠る兄貴の顔を覗き見て、何でもないように答える。