Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
「綺麗だったわよ」
「ホントに?
唯ちゃん、
思ったこと言ってよ」
彼は真っ直ぐな眼差しで、
向き合ってくる。
その瞬間、
私も教師としてスイッチが
切り替わっていく。
「ちょっと隣にずれてくれる?
さっき、こうやって
弾いたところあるわよね」
彼が辿った音を
私の指先が辿っていく。
「ここの(この音)。
ここから始まる音に迷いが生じたわね。
あえて、この不協和音を取り入れることに
拘らなくてもいいでしょ。
この音は、その一音で
今までの作り上げてきた世界を崩壊させるわ。
その後から続いたメロディーが
哀愁を漂わせて、その不協和音を作り上げた。
だから、宮向井くんが意図的にその音を
いれてきたのは私もわかった。
だけど、こっちではダメかな?」
もう一度同じように
メロディーを辿っていく。
そして彼とは違う不協和音を
その場所に入れて
その音をフォローするように
メロディーラインを生かしたまま
その哀愁さを転調させて
より強調していく。