Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
10. 大切な物-雪貴-
スタジオ。
唯ちゃんが退院した休日。
朝、病室に姿を見せて以降
夜まで、唯ちゃんのマンションで
夢のような時間を過ごした。
そして今、俺は、
もう一つの偽りの世界の中に
身を投じていた。
兄貴の身代わり。
唯ちゃんを
深く知れば知るほど
AnsyalのTakaが
重く圧し掛かっていく。
音楽に集中できない……。
一瞬の音のミス。
「ストップ。
やめろやめろっ!!」
スタジオに
託実さんの声が響く。