Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
今はその曲作りの
山場を迎えていた。
「雪貴。
今のところ、そのアレンジは、
もう少しどうにかならないか?」
託実さんは、
言いにくそうに声を小さくする。
その表情に俺はハッと演奏を思い返した。
今……兄貴じゃなくて、
俺自身の素をさらしてた。
兄貴はそんな演奏はしない。
Ansyalに必要なのは、
兄貴であって、俺じゃない。
バンドの中で、
Takaを大声叫び続ける声も
兄貴に向けられるものであって、
俺に与えられたものじゃない。
「わかってます。
兄貴なら……こういう風には
演奏しないですよね」
静かに伝えて、
兄貴の相棒を肩からおろすと
安置する。