Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
16. 切なさよりも遠くへ -雪貴-
夏休みも残り一週間。
ツアーが終わって住み慣れた街に
戻ってきた俺は、
託実さんと一緒に
LIVEの無事が終わった旨を
報告しに病院に訪れていた。
「こんにちは。
雪貴くん」
ナースステーションに顔を
出した途端、
親しい兄貴の担当看護師が
何か言いたげな表情を見せて
近寄ってきた。
「託実さん、先に兄貴のところ、
行ってて貰えますか?」
託実さんに一言、
断りをいれて
俺はもう一度向き直った。
「あぁ、雪貴くん、
帰ってきたんだね。
お帰り」
今度は兄貴の主治医が
姿を見せる。