Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】



「難しそうなの弾いてますね。

 唯香さんの
 自慢の教え子さんなのかな?」

「えぇ。

 私の初めて受け持った
 自慢の教え子さんなんです」



思わず力説しちゃう。



「私も音楽はヴァイオリンを
 少し嗜みますが、
 ラフマニノフは奥深いですね。
 
 唯香さんの体調も良さそうですし、
 病院のピアノで
 良ければ使われますか?」


主治医の先生の突然の申し出に
私はトキメイテ頷く。



急遽、私たち二人は
裕先生に連れられて、
大学病院の敷地内の一室に向かう。


その場所は、
ちょっとしたホールになっていて
ステージ中央には一台のピアノ。



「ここって」

「記念館です。

 1ヶ月に一度、この場所で
 私の後輩が運営している
 オーケストラを招いて
音楽療法も兼ねて、
 音楽会をしているんです。

 このホールは
 そのための場所です」


裕先生がゆっくりと
そのピアノの場所へと向かっていく。



ステージ中央に聳えるのは
コンサートグランドピアノ。



漆黒のボディが
ライトを受けて輝いている。


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