Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
「遅くなったね、唯香さん。
あれからずっと、
練習続けてたのかい?
もう六時間以上は過ぎてるけど……」
そう言って
近づいて来る裕先生。
「高臣、宝珠、彼と彼女の
練習の手伝いをして貰えないかな?」
主治医がそう言うと、
たおやかな表情を浮かべる、
黒髪の女性と見間違えそうな男性。
その隣に立つ、
少し勝気で高飛車な女の人。
あれ?
この人たち、何処かで。
「えぇ、裕お兄様。
私たちも、
存じていますわ。
そのお誘いを受けて参りましたもの。
さぁ、楽団の皆様、支度を。
貴方、曲目は
ラフマニノフの
パガニーニの主題による狂詩曲 作品43。
で宜しくて?」
突然、同意を求められて
思わず、頷く。
裕先生に宝珠と呼ばれた
その女性の人の指示の元、
瞬く間にオーケストラは形成される。