Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
「貴女、裕お兄様の患者さんで、
唯香さんだったかしら?
どうぞ、こちらへ」
宝珠さんの勢いに流されるように
裕先生の隣席へと座る私。
「さっ、皆さま。
今回のゲスト・ピアニストはこの方。
國臣のピアノとは違うでしょうが
皆様、宜しくお願いします。
君も、ご挨拶を」
女性の勢いに押されつつも、
宮向井くんは
自分の名を堂々と名乗り、
一礼して、ゆっくりとピアノの椅子に座った。
流れるように、
タクトが振り下ろされて
彼の初めての、
オーケストラとの合同練習が
思いがけない形で行われる。
聞き慣れた曲。
その曲を耳にしながら、
私の中で、
辿り着いた一つの答え。
「えぇぇぇぇぇぇっ!!」
演奏中なのに、
その音色を奏でる正体を知って
私は反射的に雄叫びをあげる。