Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
そして託実さんは、
裕先生と裕真先生の二人とは
従兄弟同士。
すぐに受け付けのお姉さんは
繋いでくれて、
最上階の部屋へ案内してくれた。
そのまま百花は
裕真先生が呼び寄せた産婦人科の先生と
部屋を出て行って、
私はそのままその部屋へと滞在する時間。
裕先生と違って、あんまり面識のない
裕真先生と過ごす緊張の空間。
そんな緊張を打ち消してくれたのは、
裕先生が顔を出した時。
「こんにちは、唯香ちゃん。
百花ちゃんの
付き添いなんだよね。
雪貴くんから連絡は?」
無音の空間に、何時もの柔らかな声で
話しかけてくれる裕先生。
「雪貴とはすれ違いばかりで。
後は、メールにしても電話にしても
通信料金と通話料金ばかり、
気になっちゃって」
そう言った私に、裕先生は
携帯端末を手にして近づいてくる。
「こういうソフトいれると便利だよ。
お互い通話料金も気にしなくていいし。
私も海外にいる知人とは、
この方法で連絡することが多いかな?
ソフト開発のスポンサーには協賛してたしね」
そう言うと、サクサクっと先生は
私が使いやすいように、
携帯にダウンロードして設定してくれる。
そしてそのまま、ある名前を表示させて
発信ボタンを押した。
画面に出ていた名前は、
惣領国臣【そうりょう くにおみ】。
惣領家は、
確か雪貴のホームステイ先のはず……。
暫くすると相手が出たのか、
裕先生は会話を楽しむ。