Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
「残念、唯香ちゃん。
今、雪貴君はレッスン中だって」
そう言うと、
そのままもう暫く会話を続けて
電話を切った。
「こうやって電話を楽しんでも、
ネット電話だから、
月々の基本料金だけだからね。
遠距離恋愛のお供にはぴったりでしょ」
そのまま裕先生も
自分の机に座って、
PCで作業を始めていく。
私もそのまま自分の
携帯電話を触っていると、
部屋のドアが開いて、
百花が戻ってきた。
産婦人科の先生は、
そのまま裕先生と裕真先生の方へと
報告に行く。
私の傍に近づいてきた百花は、
お腹に手を当てながら、
『出来てた……』っと
私の傍で呟いた。
その後は、大騒ぎ。
仕事を抜け出した託実さんは、
大喜びで、病院まで迎えに来て
託実さんたちのマンションへと場所を
移した私は、
雪貴の居ない寂しさを感じる暇もなく
そのまま晩御飯の準備に勤しむ。
百花の妊娠が見つかったことで、
一気に退屈だった白紙の夏休みは
百花のサポートで埋め尽くされた。
託実さんと百花のマンション。
自宅。
学校での仕事に、没頭しているうちに
雪貴の居ない夏は駆け足で去ってく。
九月。
新学期を迎えた学院内。
職員室で、
もう会うことがないと思っていた
アイツと再会した。
産休に入った、
社会の本浦【もとうら】先生の
変わりに入ってきた臨時講師。
『今日から、社会の本浦先生の代わりに
こちらで講師を務めます。
土岐【とき】と申します。
宜しくお願いします』
そう挨拶をしたアイツの声。