Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
13.届かない夜 -雪貴-
日本を旅立ってから、
一ヶ月が過ぎようとしていた。
言葉の通じない生活に、
当初戸惑っていた俺自身。
英会話のみなら、
何とかついていける語学も
この場所では、ドイツ語・フランス語・イタリア語と
講師陣それぞれが、
自分の母国で稽古をつける。
通訳が仲介して行われるレッスンも
微妙に訳し方のニュアンスが違うのか
思い通りの意志の疎通が難しい。
一年間お世話になる、
ホームステイ先の惣領家は
イギリスの名門家と縁深い家柄らしく、
会話の殆どイギリス英語。
もって狭いアパートを想像していた
滞在先は、広すぎる空間だった。
唯ちゃんが心配するだろうし、
俺も唯ちゃんが気になるから
何度も何度も送り続けるメール。
唯ちゃんからも
時間差でメールは届くものの、
電話をしてもすれ違いばかり。