Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】


「いいネタ手に入れたね。

 唯香が校内で付き合ってた
 男は、君ってことで
 明日、学院内に言い触らしてみよう。

 唯香を囲んで、
 俺と君は恋敵ってことになるね」


そんな風に楽しそうに告げるアイツ。


「いいこと教えてあげるよ。

 唯香がどれだけ宮向井に恋をしようと、
 最初に唯香が惚れたのは、俺。

 唯香の体の記憶には、
 切っても切れない俺が今も残ってる。

 俺は唯香の願いを叶えてあげただけだよ。

 俺の体にしがみ付くように
 毎日、体の関係を迫るんだ。

 そんな唯香の本性を俺は知ってる。

 その意味が、君にはわかるだろう?
 
 経験がないわけじゃないだろう?
 君も……」



あることないこと構わず、
話し始めるアイツ。



「……唯ちゃん……」



事実は歪められているけど、
私がアイツと体の関係があるのは
紛れもない事実。




いつも片想いをしては、
一歩を踏み出せなかった私が
六人目に恋をしたのが、アイツ。

土岐悠太。

学校が違ったアイツは、
近所ではちょっとした有名人。


上級生になって、
自宅からの通学が
許されるようになった私は、
電車の中で、見かけるようになった。


今回も告白することはないと思ってた。

ただ黙って、何時もみたいに
気になる人を見つめて、
妄想して……。


だけど今までと一つだけ違ったこと。



それは、私の幼馴染がアイツと
同じ学校だったこと。


たまたまコイバナから
発展したその話題に、
幼馴染が乗り気になって、
放課後、私はアイツの高校へと出掛けて告白。

私にとっては、
これまでにない勇気。

そしてアイツは私を受け入れてくれた。



片想いばかりで
本気の恋を知らない私の
初めての経験。

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