Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】


「おっ、雪貴オメデトなぁー。
 お二人さん、イチャつくのもうちょっと早いかなー」


そうこうしていると、後ろから大きな十夜さんの車が
近づいてきて、瑠璃垣さんバージョンの装いにも拘わらず
話される口調は十夜さんそのもので、
何とも言えないギャップ。


招かれるまま、車内に乗り込む。



「理事会として?」

「まぁな。

 これも俺の仕事やから。
 瑠璃垣としてのな」


車は学院内の関係者専用口へと吸い込まれていく。


十夜さんと雪貴と別れて、
職員室へ直行。

職員会議の後、出席簿を大切に抱えて
雪貴たちの待つ教室へと向かった。


菫色の燕尾服の制服を着こなした生徒たち。
胸ポケットには、
それぞれの学校の校章が刺繍されたポケットチーフ。


生徒たちと一緒に、会場に向かう私。



卒業生入場。



三校の生徒総会メンバーが式服に着替えて
卒業式を取り仕切っていく。


厳かで幻想的な空間は
やがて卒業証書授与へと進んでいく。


卒業生の名前を読み上げている中、
一人、ステージそでのピアノを
演奏していく。

奏でていくのは、
卒業生たちそれぞれのクラスの
思い出の曲たち。


やがて自分のクラスの当番になった時、
私はピアノの前からゆっくりと離れる。


入れ替わりに同じピアノを弾き始めるのは、
理事会メンバーの一人。

伊集院紫音さま。


紫音さまの演奏する調べに乗せて、
私が受け持つ生徒たちの名前を
順に読み上げていく。

クラスの生徒全員がその場で立ち上がった後、
言葉を続ける。


「以上、神前悧羅学院悧羅校 特進Aコース30名。
 卒業生代表、悧羅校高等部学年頭取、宮向井雪貴」


私のコールの後、
雪貴はその場から立ち上がって
理事長と理事会メンバーのいる中央ステージへと
ゆっくりと歩いて行く。
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