Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
卒業生のコールは、
次のクラスの名前が読み上げられていく中、
私は雪貴に意識を集中していた。
手渡された卒業証書を高く突き上げて、
Vサインをする雪貴。
盛り上がるクラスメイト。
長い授与式の後は、
卒業生代表で、各校の生徒総会卒業メンバーと共に
学院トップ成績で卒業をおさめた雪貴が
答辞を読み上げていく。
雪貴たちの卒業式は、
こうして幕を閉じていく。
卒業舞踏会。
OB・OGたちも集う
悧羅迎賓館を舞台に行なわれる盛大なイベント。
立食形式で振る舞われる食事。
打ち上げられる真夜中の花火をフィナーレに
全てのスケジュールが終わった。
学院を出た私と雪貴は、
そのまま電車を乗り継いで
私の故郷へと移動する。
育ったらしい生家のある場所は
もう知っている面影は何一つなかったけど、
実家の近くの旅館へと宿泊する。
そして……その夜、
久しぶりに体を重ねる……。
雪貴が私にゆっくりと焦らしながら触れていくたびに、
頑なな受け入れることを拒んでいた
蕾がゆっくりと潤滑油を溢れさせながら
開花していく。
「唯ちゃん……」
「雪貴」
お互いの名前を囁きながら、
甘い夜は過ぎていった。
翌朝、私は雪貴と共に
両親のお墓の前へと向かう。
静かに手を合わせた後、
ゆっくりと雪貴に向き直った。
「雪貴、私ね……。
学院の臨時講師になったの。
今までみたいに毎日じゃなくて、
音楽とピアノの授業がある日だけ
出勤することに決まったの」
突然の宣言に、
雪貴は驚いた表情になって
唇を噛みしめた。