ミラクルにいこう!
まひるが目を覚ましたら、3人の男たちが顔をのぞきこんでいた。
「誰?あなたたちは・・・誰なの?どうして私を見てるの?」
すると、いちばん背の高い男がまひるの頭を手でポンポンと軽くたたいて言った。
「自宅の自分の部屋を忘れるとは困ったやつだ。」
「えっ!?」
そして今度はいちばん背の低い男。とはいってもまひるよりは高い身長の男が泣きそうな顔をして言った。
「やっぱり病にかかってしまったんだね。かわいそうに。」
「ど、どういうことですか?あなた方は誰なんですか?
最後に中間の背の高さの男が、魔法のようなものをまひるにかけて「はぁ!」と叫んだ。
「にいさまたち・・・。私・・・。どうして。」
「まだまだ記憶が抜けているから、無理に思い出そうとするな。
とりあえず、俺たちのことを簡単に思い出してもらった。」
「私はいったい何がどうなってどこにいたんですか?」
「おそらく2つの世界へと出かけていたんじゃないかと思われる。
そこまでしか我々では説明できないが、その症状を治す手伝いはできる。」
「私は病気なの?」
「うん。昔いちばん上の兄が同じ症状になったからな。」
「記憶がないことに関係があるの?」
「ああ、おまえも含めてうちの家族はいろんな世界の時空管理をしている。
おまえもその任務で出かけていったんだが、行方不明になってしまったんだ。
俺たちの調べでは、出かけていった世界にのみこまれてしまい、その世界の住人として暮らしていたようだ。」
「えっ、私の記憶ではちゃんと家族と暮らして、それから独立してマンション暮らししながら会社勤めをしていたわ。」
「うん。我らは時空管理という特別な任務をしているので、トラブルが発生してどこかの世界へ落ちてしまった場合でも、そこで順応できるようにその都度、魔法が発動して生活プログラムが自動でできあがって生かされているんだ。
おまえも緊急事態にあったプログラムで、生きていけるように人生を仕向けられたというわけだ。」
「それが本当だとして、どうすれば記憶がすべてもどるの?
私は・・・自分家から会社に通ってそこの会社の日常くらいしか思い出せないのに・・・。」
「まぁあなたにとっては簡単なことかもしれません。
誰かと結婚して夫婦として強いきずなで結ばれることだ。
相手はどの世界の人物でもかまわないが、相手が望まないような結婚であれば記憶はもどらないし、離婚に発展でもすれば魔法の補助力は解除され、時空の狭間で永遠に放浪することになる。」
「それってつまり・・・死んじゃうってこと?」
「そうだな。生きて戻ったやつはきいたことがない。
だから、この地以外の世界の者との結婚はやめておく方が無難だ。」