ミラクルにいこう!
指導教官は公表されている部分だけとことわって智房に話した。
いつきの妻のキオミは王家の教官の娘で、教官の父が体調を壊したときに名代として家庭教師に訪れたときにいつきと出会い付き合うようになり結婚したのだが、その後妻に先立たれていた父親が再婚し、義母となった女が家の金品を強奪し、夫を殺し、時空の鍵を暴走させ他の世界へと逃亡してしまった。
時空の鍵の修復は菘家の皆様で行われる予定だったが、実家の責任を重く感じてしまったキオミは予定の時間より早くひとりで出向き、作業を行い、そこで命を落としてしまったのだった。
「当時のニュースはそういうことだったのですが、じつは公になっていない噂がいろいろありまして、いつき様はそのような要因から完全に魔力がなくなってしまったのです。
他のご兄弟はいつき様をご心配されてあれこれ慰めになる行動をされてきましたが・・・。」
「悲しみの心で不安定になってしまったまひるは失敗してしまったんだね。」
「ええ。まひる様をかわいがっていたいつき様はまひる様がいなくなってしまった後に、冷たい滝に打たれてテストをやりなおすと言われましてね。」
「滝に打たれて・・・ねぇ・・・。
感情の起伏が感じられないヤツだと思ったけど、そんなことがねぇ。
俺もひとのことは言えないけどな。
事情はわかった。いつきがそうやってできたことなら、俺も弱点を克服してやる。」
それから智房はひたすら修行に取り組んだ。
気がつけば10日が過ぎてしまい、菘家の兄弟もやや心配し始めていた。
「10日か・・・1か月たったらテストを行い、その結果がよければ1週間後に婚儀を発表するらしいけど、トモのやつは真面目にやってんのかぁ?」
「うきは兄様!兄様じゃあるまいし、智房さんは暴れたり逃げたりしません。
もともと私の上司だったし、そのときもダメな私に根気よくずっとできるまでつきあってくれました。
夜に様子をみてもお話は少ししてくれるけど・・・テスト勉強があるからって私には謝ってばかりで・・・。
それは仕方ないことだから、私だって謝らないでって言ったの。
でも、今の調子でまだ半分以上がんばってしまったら、倒れちゃうんじゃないかって思う。」
「へぇ、すげぇ・・・マジだな。」
「僕は尊敬しますよ。トモは図書館にもよく現れますから、様子をみましたけど真剣に調べ物をしています。
最近はその様子を見に来る女性も増えましたからね。」
「ええぇーーーー!むうい兄様それ本当なの?
寡黙に机に向かっている智房さんって私だって魅力的だなっていつもながめてたのに・・・外の女たちなんかにぃーーーーー!もぉ~~~!」
「おまえもいっしょじゃねえか!あはははは。」
「何か楽しいことでもあったんですか?」
「いつき兄様!いいところに来られたわ。
智房さんがものすごい勢いで勉強しているの・・・。
でも、あんなペースでがんばっちゃったら私は心配で、心配で・・・。
花婿テストの前に倒れちゃったらどうしよう。
そんなことになったら私・・・ゴキブキと戦闘になった後だってボロボロで生きた心地がしなかったもの。
ひとりで何とかできることだって私は一緒にやりたいの。
待っていてほしいのに・・・どうして大変なことをひとりで抱えちゃうのかなぁ。」
「まひる・・・。明日、教官に私から様子をきいてみますよ。
そして必要であれば・・・私がお相手してきます。
きっと彼はまひるや私たちの考えをわかってくれると思います。」
「いつき兄様・・・お願い。」
「はい。お安い御用です。」
いつきの妻のキオミは王家の教官の娘で、教官の父が体調を壊したときに名代として家庭教師に訪れたときにいつきと出会い付き合うようになり結婚したのだが、その後妻に先立たれていた父親が再婚し、義母となった女が家の金品を強奪し、夫を殺し、時空の鍵を暴走させ他の世界へと逃亡してしまった。
時空の鍵の修復は菘家の皆様で行われる予定だったが、実家の責任を重く感じてしまったキオミは予定の時間より早くひとりで出向き、作業を行い、そこで命を落としてしまったのだった。
「当時のニュースはそういうことだったのですが、じつは公になっていない噂がいろいろありまして、いつき様はそのような要因から完全に魔力がなくなってしまったのです。
他のご兄弟はいつき様をご心配されてあれこれ慰めになる行動をされてきましたが・・・。」
「悲しみの心で不安定になってしまったまひるは失敗してしまったんだね。」
「ええ。まひる様をかわいがっていたいつき様はまひる様がいなくなってしまった後に、冷たい滝に打たれてテストをやりなおすと言われましてね。」
「滝に打たれて・・・ねぇ・・・。
感情の起伏が感じられないヤツだと思ったけど、そんなことがねぇ。
俺もひとのことは言えないけどな。
事情はわかった。いつきがそうやってできたことなら、俺も弱点を克服してやる。」
それから智房はひたすら修行に取り組んだ。
気がつけば10日が過ぎてしまい、菘家の兄弟もやや心配し始めていた。
「10日か・・・1か月たったらテストを行い、その結果がよければ1週間後に婚儀を発表するらしいけど、トモのやつは真面目にやってんのかぁ?」
「うきは兄様!兄様じゃあるまいし、智房さんは暴れたり逃げたりしません。
もともと私の上司だったし、そのときもダメな私に根気よくずっとできるまでつきあってくれました。
夜に様子をみてもお話は少ししてくれるけど・・・テスト勉強があるからって私には謝ってばかりで・・・。
それは仕方ないことだから、私だって謝らないでって言ったの。
でも、今の調子でまだ半分以上がんばってしまったら、倒れちゃうんじゃないかって思う。」
「へぇ、すげぇ・・・マジだな。」
「僕は尊敬しますよ。トモは図書館にもよく現れますから、様子をみましたけど真剣に調べ物をしています。
最近はその様子を見に来る女性も増えましたからね。」
「ええぇーーーー!むうい兄様それ本当なの?
寡黙に机に向かっている智房さんって私だって魅力的だなっていつもながめてたのに・・・外の女たちなんかにぃーーーーー!もぉ~~~!」
「おまえもいっしょじゃねえか!あはははは。」
「何か楽しいことでもあったんですか?」
「いつき兄様!いいところに来られたわ。
智房さんがものすごい勢いで勉強しているの・・・。
でも、あんなペースでがんばっちゃったら私は心配で、心配で・・・。
花婿テストの前に倒れちゃったらどうしよう。
そんなことになったら私・・・ゴキブキと戦闘になった後だってボロボロで生きた心地がしなかったもの。
ひとりで何とかできることだって私は一緒にやりたいの。
待っていてほしいのに・・・どうして大変なことをひとりで抱えちゃうのかなぁ。」
「まひる・・・。明日、教官に私から様子をきいてみますよ。
そして必要であれば・・・私がお相手してきます。
きっと彼はまひるや私たちの考えをわかってくれると思います。」
「いつき兄様・・・お願い。」
「はい。お安い御用です。」