ミラクルにいこう!
翌日の朝、まひるは携帯電話の呼び出し音で起こされた。

会社の人事部から樋川課長の消息を知らないか?という用件だった。


ある程度予想していたとはいえ、休日の朝からもう大騒ぎになろうとはまひるは足が震えた。


(まさか、ちっちゃくなってうちのマジックファンタジーハウスで寝泊まりしていますとは言えないよねぇ。)


しかも今、目の前で泣きそうな顔をして立ち尽くしてるとも言えず、まひるはひたすら知らないを通すしかなかった。

最後に会ったのは残業をしていたときで、その後自分はそそくさと自宅に帰ったと報告した。


結局、その後会社から樋川智房という購買課長はどうなったのかわからず、会社から忽然と姿が消えたということで警察に届けられてしまった。



「課長・・・家族には正直に連絡しなくていいんですか?
まぁ、いきなり小さくなったとは言いにくいですし、ある程度事態が落ち着いたら私からお話をとりつけてもいいですよ。」


「その心配はいらないよ。俺の両親と姉は事故で亡くなっているから心配してくれる家族なんていない。

親戚もそれらしいつきあいなんてしていないしね。
気を遣わせてすまない。

あ、それから明け方近くまでかかって下着から上着まで服を作ってくれてありがとう。

まさか、君にこんな才能があるなんて知らなかったよ。
どれもかっこよくてぴったりだ・・・と言いたいところだが・・・」



「何かお気に召しませんか?」


「これってどうみてもゲームの王子様のような騎士のような・・・なんでキャラクターっぽい服ばかりなんだ?

現在を生きる、成人男子の服をお願いしたいんだけど・・・。
できれば動きのいいやつを頼みたい。」



「あ、す、すみません。つい私の趣味がでちゃいまして~~~」


「はぁ・・・でも、なんかたまにはこういうのも着てみるのもいいな。」


「あ、ところでかちょ・・・じゃなかった。
トムはメガネをかけてないのに、見えるの?
たしか、メガネがないとほとんど見えないって言ってませんでしたっけ?」


「ああ。それが、小さくなったら見えるようになった。
昨日持ち帰ってもらった俺の服とメガネをしばらく預かっていてくれないか。

いつもとにもどれるかはわからないけど・・・ね。」


「必ず、もとに戻れます。私がもどしてあげますから。
トムが小さくなったときに妙な言葉を聞いたんです。

だから、この状況には続きがあると思うんです。
私に働きかけたものが、きっと何かしてくる予感がします。

と、とにかく・・・私があなたをお守りしますから。ねっ」



「おい・・・そういうのは、勇者のセリフだろうが。
どうして、サポート役のおまえがいうんだ?」


「えへへへ。」
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