ミラクルにいこう!
まず、目に入ってきたのは自然が多くて木造家屋がちらほら見える、まるで西部劇の舞台のような村のような景色。


そして、人垣の向こうには教会らしき建物があって、牧師さんと大人の人が20人くらい・・・。


(あれ?子どもの姿がぜんぜんない!
みんな学校とかに行っちゃってるのかな?」


まひるがそう思った瞬間、目に入ったのは勇者姿の智房の前に女性たちが集まって何やら頼まれていた。



「お願いします。ぜひ、私たちの子どもたちを救ってください!」



「は、はぁ?あのこのとおり俺は武器も持っていないし・・・どうやって戦えというんですか。」


まひるが智房に事情をきいてみると、女性たちの子どもが、耳の長い化け物に魔法で操られてさらわれてしまったという。


ちょうどそのとき、勇者姿の智房と現代の部屋着姿のままのまひるが空から落ちてきたものだから、神の使いだと思われたらしい。


武器や杖は村の鍛冶屋にあるから自由に使っていいと言われ、宿屋の最高級の部屋を用意された。


「もう!どうして私までちっちゃくなってこんなところに来ちゃったのよーーーー!
これじゃ、トムが戻る手だてもあったもんじゃないわ。」



「そうだな。・・・でも、どうして君は服まで小さくなったんだろう?」



「ツッコむところはそこなの!?」


「そりゃ、そう思うだろう!俺は裸で小さくなってて、こんなコスプレやらされてるのに、どうして君は裸じゃないんだ!

不公平じゃないか!」


「いやらしい・・・。私が小さくなって裸でここで辱めを受けることを期待してたんでしょう!」


「そ、そんなことは・・・。もし、そうなっていたらこの服を君にかぶせていたよ。」


「さぁ、どうだか・・・。
で・・・どうするの?」


「ここまでされたら子どもたちを助けにいくしかないだろう・・・。
それに、ちょっと気になることがあるんだ。」


「気になること?」


「なぁ、何か魔法を使ってみてくれないか?」


「何、バカなことを言ってるんですか!
そんなのできるわけないじゃないですか・・・。
たとえば、テーブルさん消えちゃえ!な~んてことが・・・あれ?

消えてる!!!!!リンゴよ出ろっ!
うそっ・・・リンゴが手の上に・・・。」


「やっぱりそうか。ここに通されたときに、護身用の鉄棒のようなものがあったんだけど、それを剣を持つように持って振り下ろしたところを洗面所の鏡で見たら、びっくりするほどサマになってた。

俺は剣道もフェンシングもやったことがないのにだ。
あっ!俺は設定上では魔法勇者だったよな・・・たとえば、炎よ剣に宿れ!なんて・・・うぉ!やっぱり。赤い剣になった。」


「ここは何でもあるの国なの?」


「さぁ・・・けど今言えるのは、俺は魔法勇者で君は魔法使いだってことだ。
魔法で衣装変えてみたらどうだ?」


「うん、かわいい魔女の姿になぁ~~れ!
うわぁーーーー!ステキ。かわいい!」


「これなら・・・これなら子どもたちが救える!きっと。」

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