寒いね。
やっぱり、言えないんじゃない。

私と話そうとする気なんて全くなかったんじゃないの?

「お客様」

その声に顔をあげる。

常盤だった。

「他のお客様のご迷惑になりますので、今すぐ出て行ってもらえないでしょうか?」

無表情で、冷たい声で言った。

さっきの笑顔と優しい声の彼は別人かと疑ってしまうくらいに。

「でも…」

「私はこの店のオーナーです。

今から警察をお呼びしますが」

口を開いて何かを言おうとした元カレに、常盤がさえぎる。
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