寒いね。
常盤は微笑む。

「そっちの方が、温かいでしょ?」

手の中のチョコレートをそっと握った。

「常盤さんは…」

私、何を言おうとしているの?

「常盤さんは、私のことをどう思ってますか?」

その質問に、常盤は大きく目を見開いた。

手で口をふさいだ。

私、何聞いてるのよ!

自分を叱っても今さら遅い。

「――かわいい人だ、って」

今度は私が目を見開く番だった。
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