寒いね。
「…ありがとうございます」

泣くだけ泣いた後、わざわざ家まで送ってくれた彼に頭を下げた。

「気にしないでください」

彼は微笑んだ。

「でも…」

「いいんです」

微笑む彼に返すことをやめた。

「本当に、ありがとうございました」

お礼を言った。

「じゃあ、またのご来店よろしくお願いします」

「…えっ?」

彼はそんなことを言ったと思ったら、私に背中を見せた。
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