君と恋する奇跡~優しい笑顔に恋をして~
犯人は、黒いパーカーを着ていた。


手がかりはそれだけしかない。



「…誰かはわかんなかったの。パーカーのフードを被ってたから。…でも、笑ってたんだ。口元だけ見えた」


「そっか…」



それから爽志君は、なにかを考えるように黙りこんだ。


少しの沈黙のあと、爽志君があたしを見つめた。


えっ、なに??



「……俺が、雅ちゃんを守るよ」



爽志君はそう言ってあたしの手を握った。



温かい…。




「…俺がずっとそばにいてあげる」


あたしはその優しい言葉を聞いて、また涙をこらえることができなくなった。


「……うっ…。ありがとう…爽志君…」


本当にありがとう。


ただのバイト仲間のあたしなんかに。
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