いつか君に届け
人生の歯車
4月になり桜も7分咲きって感じだ。壮ちゃん!満開は近いね。壮ちゃんの誕生日は4月8日です。ちょうど桜が満開になる頃壮ちゃんは生まれたんだね。あー電話。親父か。何の用だよ今さら。

『もしもし?親父?何ですか?』

『慶太郎!お義母さんが事故にあった!慎二郎連れて病院へ行ってくれ。それから会社とチビ達を頼む!』

『はあ?おい!ちょっと待て!』

くそ!なんだよ!どういう意味だよ!なんで切るんだよ!何度かけ直しても親父の携帯は電源が入っておらず会社にかけても親父は病院へ向かったと言われ俺も慎二郎に連絡をしとりあえず病院へと向かったがすでに親父は立ち去った後であり俺と慎二郎は眠っているかのように亡くなっているお義母さんとしばらく黙りあったまま時間だけが過ぎていった。

『慎二郎!親父はたぶん戻らねーんだろうから俺は悠達を連れてくる。葬儀の手配も俺がするよ。お前はお義母さんについててやって』

『うん。わかりました』

お義母さん!最後にあなたの顔を見たのはちょうど一年前ですかね。壮ちゃんからの手紙をあなたから受け取りました。俺は悠達に何て言えばいいんですか。わかりませんよ。あいつら居ないのか?遊びに行ってんのかな?実家の鍵を俺は捨てたんだよ。もう帰ってくる事はないと思ってな。

『おい!悠之心!龍!虎!どこに行ってたんだ?』

『慶兄!どうしたの?帰ってきたの?龍と虎がお腹すいたって言うからコンビニに行ってたんだよ。お母さんが帰ってこないんだ。こんなに遅くなる事なんてなかったのに』

『慶太郎兄ちゃん!抱っこしてー!遊ぼう!』

『僕も抱っこしてー!』

『はい。おいで。龍!虎!お前らまた大きくなったね。悠!車に乗って!はい!龍!虎も乗ってよ!』

『え?どうして?どこ行くの?ねえ?慶兄。お母さんが心配するから僕メモしてくるよ』

『悠!いいから乗りなさい!』

『なんで?どうして?』

『慶太郎兄ちゃん!おもちゃ買いに行くの?』

『僕もおもちゃ欲しい!何個買ってくれるの?』

『ここは病院じゃん。慶兄!どうして何も言わないの?お母さんが入院しちゃったの?』

『こっちだよ。お前らおいで。中でお義母さんが待ってる』

『あ!ママー!寝てるの?眠たいの?』

『あのねー!ママ!悠兄がお菓子買ってくれたよ。今日のおやつなかったじゃん!忘れたの?ねえーママ!起きて!』

『な、なんで?お母さん!なんでなの?僕達ずっと待ってたんだよ!いやだ!嫌だよ!慶兄?』

『悠!泣いてもいいんだよ。おいで。抱っこしてあげるから』

『け、慶兄!うわあーん、いやだーなんで!うわあーん!っく、あー嫌だ!うわあーん!お母さん!け、ケーキ買ってくるって言ったじゃん!うわあーん!うっく』

『ふぇっ、ま、ママー!ママ!うえーん!』

『うえーん!ママー!起きて!ママー!うわあーん!お、お家帰ろうー!ママ!うわあーん!』

『龍!虎!おいで!俺が抱っこしてあげる。っく、うっく』

『し、慎二郎兄ちゃん!ま、ママは?うわあーん!ママはどうして起きないの?』

『どうしてだろうな。っく』

『慎二郎!俺は葬儀の打ち合わせをしてくるからチビ達見ててくれ。ご飯はなんか買ってくるよ』

『うん。兄貴!親父はなんで来ないの?』

『知らねーよ。とりあえず悠達が起きたら飯食わしてくれ』

お義母さん!悠、龍、虎が泣き疲れて眠ってしまったじゃないですか。俺はどうしたらいいんですか。お義母さん!答えて下さい!なんでこんな事になるんですか?壮ちゃん!俺はあいつらにどうしてあげればいいの?なんでこんなふうに人生の歯車はいつも突然に狂うの?俺の罪のせい?あいつらには関係ないじゃん。全て俺が悪いんだよ。神様俺を殺してくれれば良かったじゃん。あいつらはまだ幼いんだよ。母親が必要なんだ。ふざけんなよ!返してくれ!あいつらの母親を返せ!バカ野郎!俺の命とかえてくれ。頼むよ。
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