いつか君に届け
難題
『龍!虎!なんなの?この部屋?おもちゃは片付けて!虎!教科書が落ちてるよ!なんで?教科書は学習机に並べるんでしょ!ちゃんと片付けなさい!』
『落ちてないよー!置いたの!』
『置いたの?じゃあ置く場所間違ってるからちゃんと戻して下さい!龍は何やってんの?おもちゃはどこにしまうの?おもちゃのケースがちゃんとあるんですけど』
『だってこれ壊れてるでしょ?動かない』
『電池がないんだよ。もう今使わないでしょ。電池買っとくからとりあえず散らかってるのを全部片付けて!踏んじゃうだろ』
はぁー。ダメだ。やっぱり俺の弟だ。でも俺はこんなに散らかしてないぞ。だいたいおもちゃで遊ぶ暇すらなかったんだからな。
『悠!入るよ。お前は何やってるんですか?』
『え?俺は漫画読んでるだけじゃん。俺は片付けする必要ないように元に戻すがモットーだから散らかったりはしないよ』
『そうですか。君の部屋は綺麗ですね。素晴らしいモットーをお持ちで頭下がりますよ。弟くん達にもちゃんと教えてやってほしいんですけどね』
『まあそのうちね。まだチビだから。それより慶兄!お小遣いちょうだい!今月お母さんの葬式とかあってバタバタしてたから貰ってないんだけど』
『あーそうだな。いくら貰ってたんだよ?龍達にも渡してないな』
『一万!龍達はまだ貰った事はないよ。お父さんが1年生になったらって言ってた』
『一万?お前小学生だろ。俺は中1で5000円しか貰ってなかったぞ。それでも一般家庭よりちょっと多いぐらいらしい。まったく足りなかったけどな。とりあえず小学生の平均を調べるよ。今回はとりあえず5000円渡しておく。それでも絶対多いはずだ』
『えー!?マジで言ってんの!今までの半分だよ。ありえない!』
『あのねー俺らの家をまともだと思うんじゃないよ。普通の感覚を身につけようね。君は今からなんだからまだ修正可能だよ。来月からは平均しか渡さないからね。龍や虎はまだチビだから必要ない。必要なモノは全て俺が買うから言ってくれ。わかりましたか?』
『わからないです。ショック過ぎて頭の中の整理がつきません。いってぇー!なに?』
『お小遣いぐらいでグダグダ言ってんじゃねーよ。貰える事は当たり前じゃないんだぞ。ところで悠之心くん!それは何かな?ゴミ箱に入ってるプレゼント包装されたままのものが捨てられてるようですけど』
『え?あー。バレンタインのチョコだよ。4年生の時の体操着の袋から出てきたから捨てた。俺チョコ大嫌いなんだよね。だからお断りなんだけど勝手に入れてる奴とかもいるからマジ迷惑』
『お前は俺に似てるのか?嫌いな物であろうと相手の気持ちなんだから受け取ってあげるのも優しさだ。まあ俺も今ホストをやってるから言えるんだけどね。捨てちゃうのはどうかと思うよ。龍や虎はチョコ好きなんだろ?おやつに食ってるぐらいだしせっかく貰ったものなんだからお前が食べられないなら弟に食わせればいいんだ』
『え?でももう2ヶ月も前のだよ。来年からはそうするよ』
『じゃあ女の子には思いやりを持って接してください。んで約束事を守らなかったら尻を叩くからね!俺からお仕置きされないように気をつけてくださいよ。お前は尻叩かれた事はあるの?』
『あるよ。小さい頃だけど』
『親父に?』
『うん。お父さんはあまりいないからたまにだったけどお母さんには小さい頃いっぱい叩かれた。でももう俺高学年だし尻なんか叩かれたくない!』
『悠之心くん。叩かれたくなかったら約束や言われた事をちゃんとやって悪い事をしなきゃいいだけだよ。俺は中学生でも叩かれてたんだ。わかりましたか?お義母さんに叩かれるより痛いと思うぞ』
『わかりました!』
『よしじゃあ晩飯食いに行くか。何食いたい?』
『ショッピングモール行きたい!上にあるハンバーグ屋さん!慶兄!ゲームがほしいのあるんだけど!』
『そのゲームが目的なんだろ?ハンバーグはついでか。じゃあ準備して!龍!虎!ご飯食べに行くよ!お片付けできたの?なんだよ!全然出来てないじゃねーか。何やってたの?片付けなさいって言ったでしょ。なんでお前らの部屋はこんなに散らかってんだよ』
『僕は片付けたよー!あとは虎が出したやつだもん!』
『僕じゃないよー!龍だよ!』
『もうどっちでもいい。龍も虎も遊んでたんだろ。片付けなさいって言ったのに言われた事が出来ないならお尻叩くからおいで!』
『いやだ!ごめんなさい!片付ける!』
『虎は!出来ないの?お尻叩こうか?』
『いやだよ!慶太郎兄ちゃんが片づけて!』
『なんで俺がお前らが散らかしたものを片付けるんだよ!もういい!虎!お前はお仕置きだ!こっちに来なさい!』
『い、いやだ!いやー!痛い!いたーい!うわあーん、痛いよー!いやー!いたい!うえーん!痛い!ごめんなさい!いたいーっく』
『虎!どうするの?片付けるの?龍に1人でやらせるのか?お前も散らかして遊んだんだろ!』
『うっく、痛い、ひっく、か、片付ける、っく、うっく』
『はい。じゃあ片付けて。片付けたらお出かけするんだから準備して。虎!わかったの?』
『うっく、わ、わかったの、ひっく、抱っこしてよー!うっく』
『もう泣かないの。片付け出来ないでしょ。はい。パンツあげて!ほら!おいで。痛いだろ?ちゃんと言われた事は守りなさい。わかったの?龍と一緒にお片付けする?悠が待ってるよ。ショッピングモールのハンバーグ屋さんがいいんだって。虎もハンバーグ好き?』
『っく、好き!ゲーム買う!うっく』
『お片付けがちゃんと出来たらね。だから早くやろうか?』
『っく、うん!やる!』
完全にゲームに釣られてやる感じだな。お義母さん!子育ては難しいですね。虎がわがまますぎるのは気のせいでしょうか?野菜嫌いなのは俺に似てるみたいですし。悠がお尻叩かれて育ってるんだから龍達も同じはずですよね。末っ子の双子だからかわいくて甘やかしちゃったんですか?俺も壮ちゃんがベビーシッターとして来る前までは親父に尻を叩かれていた。でも本当に家にはあまりいないからたまにだったと思う。3歳になるぐらいまでは記憶がないからわかんないけど。ある日4歳ぐらいだったかな?5歳になってたのか覚えてないけど壮ちゃんが帰ってしまった夜中にトイレに行きたくなって起きた時ちょうど酔っ払った親父が帰ってきてなんでこんな時間に起きてんだっていきなり尻を叩かれて泣き喚いていたらお母さんがうるさい!って出てきてそんな子の躾は結城くんに任せればいいでしょって怒っていたのが忘れられない。親父はバツが悪そうに俺を部屋に連れて行き早く寝なさいと言った。俺は親父に問いかけたんだ。お父さんも僕が嫌いなの?って。そんなことあるわけないだろって言うからでもお母さんは僕の事が嫌いみたいだって俺は言った。親父はそれに対して何も答えず早く寝なさいとだけ言ったんだ。お母さん!俺がそんな子とはどういう意味だったんですか?理不尽に尻を親父に叩かれた事よりもあなたが発したそんな子と言う言葉の方が俺には痛かったです。親父に尻を叩かれた事が忘れられないんじゃなくてあなたが怒って発したそんな子と言う言葉が忘れられないんです。俺があなたにどんな悪いことをしたのかがまったくわからなくて苦しかったんです。答えがわからなくて毎日考えてましたよ。ちゃんと正解が確認出来る勉強の方がずっとラクでした。今だに俺は答えが確認出来ない問いに1番苦戦しています。受験のどんな難題よりもあなたの発した言葉が俺には解けない1番の難題でした。そしてこれからも俺が解ける解答ではないと思います。正解を知っているのはあなただけですから。
『落ちてないよー!置いたの!』
『置いたの?じゃあ置く場所間違ってるからちゃんと戻して下さい!龍は何やってんの?おもちゃはどこにしまうの?おもちゃのケースがちゃんとあるんですけど』
『だってこれ壊れてるでしょ?動かない』
『電池がないんだよ。もう今使わないでしょ。電池買っとくからとりあえず散らかってるのを全部片付けて!踏んじゃうだろ』
はぁー。ダメだ。やっぱり俺の弟だ。でも俺はこんなに散らかしてないぞ。だいたいおもちゃで遊ぶ暇すらなかったんだからな。
『悠!入るよ。お前は何やってるんですか?』
『え?俺は漫画読んでるだけじゃん。俺は片付けする必要ないように元に戻すがモットーだから散らかったりはしないよ』
『そうですか。君の部屋は綺麗ですね。素晴らしいモットーをお持ちで頭下がりますよ。弟くん達にもちゃんと教えてやってほしいんですけどね』
『まあそのうちね。まだチビだから。それより慶兄!お小遣いちょうだい!今月お母さんの葬式とかあってバタバタしてたから貰ってないんだけど』
『あーそうだな。いくら貰ってたんだよ?龍達にも渡してないな』
『一万!龍達はまだ貰った事はないよ。お父さんが1年生になったらって言ってた』
『一万?お前小学生だろ。俺は中1で5000円しか貰ってなかったぞ。それでも一般家庭よりちょっと多いぐらいらしい。まったく足りなかったけどな。とりあえず小学生の平均を調べるよ。今回はとりあえず5000円渡しておく。それでも絶対多いはずだ』
『えー!?マジで言ってんの!今までの半分だよ。ありえない!』
『あのねー俺らの家をまともだと思うんじゃないよ。普通の感覚を身につけようね。君は今からなんだからまだ修正可能だよ。来月からは平均しか渡さないからね。龍や虎はまだチビだから必要ない。必要なモノは全て俺が買うから言ってくれ。わかりましたか?』
『わからないです。ショック過ぎて頭の中の整理がつきません。いってぇー!なに?』
『お小遣いぐらいでグダグダ言ってんじゃねーよ。貰える事は当たり前じゃないんだぞ。ところで悠之心くん!それは何かな?ゴミ箱に入ってるプレゼント包装されたままのものが捨てられてるようですけど』
『え?あー。バレンタインのチョコだよ。4年生の時の体操着の袋から出てきたから捨てた。俺チョコ大嫌いなんだよね。だからお断りなんだけど勝手に入れてる奴とかもいるからマジ迷惑』
『お前は俺に似てるのか?嫌いな物であろうと相手の気持ちなんだから受け取ってあげるのも優しさだ。まあ俺も今ホストをやってるから言えるんだけどね。捨てちゃうのはどうかと思うよ。龍や虎はチョコ好きなんだろ?おやつに食ってるぐらいだしせっかく貰ったものなんだからお前が食べられないなら弟に食わせればいいんだ』
『え?でももう2ヶ月も前のだよ。来年からはそうするよ』
『じゃあ女の子には思いやりを持って接してください。んで約束事を守らなかったら尻を叩くからね!俺からお仕置きされないように気をつけてくださいよ。お前は尻叩かれた事はあるの?』
『あるよ。小さい頃だけど』
『親父に?』
『うん。お父さんはあまりいないからたまにだったけどお母さんには小さい頃いっぱい叩かれた。でももう俺高学年だし尻なんか叩かれたくない!』
『悠之心くん。叩かれたくなかったら約束や言われた事をちゃんとやって悪い事をしなきゃいいだけだよ。俺は中学生でも叩かれてたんだ。わかりましたか?お義母さんに叩かれるより痛いと思うぞ』
『わかりました!』
『よしじゃあ晩飯食いに行くか。何食いたい?』
『ショッピングモール行きたい!上にあるハンバーグ屋さん!慶兄!ゲームがほしいのあるんだけど!』
『そのゲームが目的なんだろ?ハンバーグはついでか。じゃあ準備して!龍!虎!ご飯食べに行くよ!お片付けできたの?なんだよ!全然出来てないじゃねーか。何やってたの?片付けなさいって言ったでしょ。なんでお前らの部屋はこんなに散らかってんだよ』
『僕は片付けたよー!あとは虎が出したやつだもん!』
『僕じゃないよー!龍だよ!』
『もうどっちでもいい。龍も虎も遊んでたんだろ。片付けなさいって言ったのに言われた事が出来ないならお尻叩くからおいで!』
『いやだ!ごめんなさい!片付ける!』
『虎は!出来ないの?お尻叩こうか?』
『いやだよ!慶太郎兄ちゃんが片づけて!』
『なんで俺がお前らが散らかしたものを片付けるんだよ!もういい!虎!お前はお仕置きだ!こっちに来なさい!』
『い、いやだ!いやー!痛い!いたーい!うわあーん、痛いよー!いやー!いたい!うえーん!痛い!ごめんなさい!いたいーっく』
『虎!どうするの?片付けるの?龍に1人でやらせるのか?お前も散らかして遊んだんだろ!』
『うっく、痛い、ひっく、か、片付ける、っく、うっく』
『はい。じゃあ片付けて。片付けたらお出かけするんだから準備して。虎!わかったの?』
『うっく、わ、わかったの、ひっく、抱っこしてよー!うっく』
『もう泣かないの。片付け出来ないでしょ。はい。パンツあげて!ほら!おいで。痛いだろ?ちゃんと言われた事は守りなさい。わかったの?龍と一緒にお片付けする?悠が待ってるよ。ショッピングモールのハンバーグ屋さんがいいんだって。虎もハンバーグ好き?』
『っく、好き!ゲーム買う!うっく』
『お片付けがちゃんと出来たらね。だから早くやろうか?』
『っく、うん!やる!』
完全にゲームに釣られてやる感じだな。お義母さん!子育ては難しいですね。虎がわがまますぎるのは気のせいでしょうか?野菜嫌いなのは俺に似てるみたいですし。悠がお尻叩かれて育ってるんだから龍達も同じはずですよね。末っ子の双子だからかわいくて甘やかしちゃったんですか?俺も壮ちゃんがベビーシッターとして来る前までは親父に尻を叩かれていた。でも本当に家にはあまりいないからたまにだったと思う。3歳になるぐらいまでは記憶がないからわかんないけど。ある日4歳ぐらいだったかな?5歳になってたのか覚えてないけど壮ちゃんが帰ってしまった夜中にトイレに行きたくなって起きた時ちょうど酔っ払った親父が帰ってきてなんでこんな時間に起きてんだっていきなり尻を叩かれて泣き喚いていたらお母さんがうるさい!って出てきてそんな子の躾は結城くんに任せればいいでしょって怒っていたのが忘れられない。親父はバツが悪そうに俺を部屋に連れて行き早く寝なさいと言った。俺は親父に問いかけたんだ。お父さんも僕が嫌いなの?って。そんなことあるわけないだろって言うからでもお母さんは僕の事が嫌いみたいだって俺は言った。親父はそれに対して何も答えず早く寝なさいとだけ言ったんだ。お母さん!俺がそんな子とはどういう意味だったんですか?理不尽に尻を親父に叩かれた事よりもあなたが発したそんな子と言う言葉の方が俺には痛かったです。親父に尻を叩かれた事が忘れられないんじゃなくてあなたが怒って発したそんな子と言う言葉が忘れられないんです。俺があなたにどんな悪いことをしたのかがまったくわからなくて苦しかったんです。答えがわからなくて毎日考えてましたよ。ちゃんと正解が確認出来る勉強の方がずっとラクでした。今だに俺は答えが確認出来ない問いに1番苦戦しています。受験のどんな難題よりもあなたの発した言葉が俺には解けない1番の難題でした。そしてこれからも俺が解ける解答ではないと思います。正解を知っているのはあなただけですから。