輝く光の中で
その夜、父さんが帰って来てから、事故の経緯を二人に話した。

「その、アルバートって、どこの国の人間なんだ?」父さんは、
怒り半分で、聞いてきた。

「ごめんなさい。解らないの。私も、九条の件があったので
 お互い、詳しい事は、一切話してなかったの・・・・。
 でも、決して変な人では、ないわ。」

「それは、お前が騙されていたのかも知れないだろ!ましてや
 手切れ金だなんて!バカにするにも、ほどがある!」

父さんの怒りようは、智ほどではないが、大切な娘が邪険に
扱われて、怒り心頭のようだ。

母は、落ち着いたもので

「でも、万梨阿は、楽しい時間を過ごしたんでしょ?」

「うん、今まで感じたことがないほど幸せだった。」

「そうね、それが恋ね!お母さんはね、あなたが恋も知らずに
 ただ九条の為に生きるのは、どうかと思っていたの・・・・。
 万梨阿の周りは、結構悪の強い人間ばかりが揃っていたから
 普通の恋愛は出来ないだろうって、思っていたの」

「美和子、悪の強いって、俺達の事か?」

「もちろん、お爺様を筆頭に、お義兄さん、雄平さんに
 終いには、智!もう智は、九条きっての強者だわ!
 自分の息子ながら、呆れるもの・・・・」

「悪かったなー、悪が強くて・・・・」

「もぉー、お父さんもお母さんも、止めてよ。私は、今回
 アルを好きになれて、良かったし、後悔はしていないわ。
 ただ、最後、アルの顔を見て、サヨナラ出来なかったのは
 辛いけど、これからは、またここで心機一転を図るわ」

「そうね」「そうだな」二人は、寂しそうに呟いた。
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