輝く光の中で
そして、いよいよ人事発表の時が来た。

「それでは、皆様、これから今年の人事発表を行います。
 まずは、社長よりご挨拶です。社長、よろしくお願いします。」

「皆さん、お疲れ様です。いつも九条を盛り立ててくださり感謝
 します。さて、今年の人事ですが、大きく役員の変更がありますので
 紹介いたします。
 まず、今まで、わが社には副社長がおりませんでしたが、今年から
 副社長の席を設け、私の右腕となり、働いてもらうことにし、
 次期後継者として、これからも活躍してもらう人物を紹介します」

会場内が、かなり ガヤガヤ と、五月蝿くなった。

派閥争いに明け暮れていた役員たちは、一体、社長は何を言って
いるんだろうという顔をしている人や青くなっている人もいたが、

「さぁー、智、こっちに来て、挨拶を!」

智が、壇上に上がると、一層騒がしくなった。

「皆さん、ご静粛にお願いいたします。ただいまご紹介に預かりました
 九条 智です。今までは、皆さんには、片桐 智で認識していただいた
 のですが、本当は、九条 智です。若輩者ですが、社長の右腕となり
 九条を支えて行きたいと思っておりますので、皆さん一緒に
 頑張りましょう!」
と、智が、挨拶を終えた。そして叔父は

「次に、グループ会社の九条ライフの新社長を紹介します。
 万梨阿、壇上へ」

私の名前が呼ばれ、壇上にあがると、智の時より、ざわめきが大きくなった

「皆様、初めまして、九条 万梨阿です。この度、九条ライフの
 新社長を仰せつかりました。兄同様、若輩者ですが、九条の発展の
 ために、尽くしていく所存でございます。よろしくお願いいたします」

私の挨拶を終えても、私の場合は、九条で働いていたわけではないから
反発も出ていた。

「皆さん、静粛に。万梨阿に関しては、今まで顔を出しては来て
 ませんでしたが、噂では聞いたことがあると思います。
 幽霊役員・・・・。そうです、この万梨阿と智が、今まで顔を
 出さずに、九条プラントと九条ライフを担ってきました。
 ですから、顔を出していなかったのが、顔を出すようになった
 だけで、業務体制は、全く変わりません。」

そう叔父が言い終わると、皆は、納得したように静かになった。
 
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