輝く光の中で
クレメレンに着いて、一旦、ホテルに入った。

チェックインを済ませ、夕方の王室主催の食事会までは、
時間があったので、智と二人で、講演会と勉強会の打ち合わせをした。

その間、輝が退屈だろうからと、莉那が散歩に連れて行ってくれた。



side 莉那

クレメレンは、とっても美しい街だ。

海と山に囲まれて、日本とも少し似ている気がする。

輝を連れて、ホテルの近くの公園にやって来た。

歩き始めた輝は、ちょこちょこと、動き廻り、目を離すと、
どこに行くのか解らないから、目が離せない。

かといって、手を繋ごうとすると、最近は嫌がるので、後ろ
から、付いて散歩している。

もちろん、いざって時には、すぐに抱っこ出来るようにしている。

公園内で遊んでいる時、智から電話があった。

打ち合わせが終わったので、戻るように。との事だった。

電話を切って、輝を見ると、離れたところまで、テクテクと歩いて
いたのをみて、驚いて、『輝』と、叫んでしまった。

その時、輝の前に、カップルがいて、その男性ににぶつかり、
尻餅をついた。

「あちゃー、不味い。泣く!」と、呟くと、走って輝の所に行った。

そしたら、その男性は、輝を抱き上げ、頭を撫でてくれていた・・・。

「すみません、ありがとうございました。」

「いいえ、どういたしまして。でも泣かなかったな、僕!えらいぞ!」

と、言った男性の顔を見て、「??????」どこかで見たような
気がしたが、とにかく帰らないとならなかったので、急いで輝を
抱き、ホテルに戻った。

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