輝く光の中で
万梨阿と輝は、処置室に行き、部屋の用意が出来るのを待つことに
なった。

早く、日本に電話をしなくてはならないが、でも、一言、王子に
言ってやりたかった!

「おい、王子、今は、九条の人間じゃなく、万梨阿の兄貴として
 お前に言いたい!」そう言いながら、王子の胸ぐらを掴んだ。

「智、止めて!」と、莉那が叫んだが、俺は、この怒りを王子に
 ぶつけた。

 ボコッ・・・・。

俺は、王子を殴った!

「お前に聞きたい! なんであの時、万梨阿を捨てた!?なんでだ?
 あの後、万梨阿がどれだけ苦しんで、苦労したか、お前に分かるか!?
 万梨阿はなぁー、お前の事は、一切俺達に言わなかった。文句も
 言わなかった。万梨阿は、お前をずっと庇っていたんだよ!
 いいか、これだけは言っておく。輝は、九条の子だ。
 お前が、王子だろうと王様であろうと、輝は渡さん!いいな!」

「智! 王子様だって、事情があったんだから、一方的な良い方は
 良くないよ!それに殴る必要もないでしょ!」と、莉那が言って来た。

「お前は、こいつを許せるのか!」

「許すも許さないも、私たちが決める事じゃない!それは、万梨阿が
 決める事よ! これは、万梨阿と王子の問題でしょ!」
と、言い返されてしまった・・・・。

「とにかく、一旦、ホテルに戻りましょう。日本へ連絡も入れないと
 ならないし、万梨阿と輝の着替えも必要でしょ!
 先生、特別室には、シャワーは付いてますか?」

「はい、シャワーに、予備のベットに、応接セット、トイレに
 ミニキッチンがつてますよ」

と、医者は言った。

「智、なら話は早いは、すぐにホテルに帰りましょう。そして
 すぐに荷物を持ってきましょ!」と、俺を引っ張って、出口に
 向かった。

とりあえず、一発殴ったから、いいか・・・・。俺は、そう思いながら
莉那と一緒にホテルに帰った。
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