月夜の翡翠と貴方【番外集】
「!スジュナ!」
「スジュナちゃん!」
ラサバとクランの叫びとともに、隣にいたはずの男の姿が消える。
「…っと、あぶね」
そしていつの間にか、ルトは私とラサバの前にいた。
状況を理解できていないのか、抱きかかえられたスジュナは目を丸くしている。
素早く行動して、階段から落ちたスジュナを受け止めたルトは、はぁ、とため息をついた。
「危なっかしいなぁ、ほんとに…」
さすが、動きが速い。
「ルトさん、すごい…!」
クランが目を輝かせて、ルトへ拍手を送っている。
思わず目をつぶってしまったらしいラサバが、恐る恐る目を開けた。
「ラサバさん、スジュナちゃんは無事ですよ」
苦笑いして言うと、ラサバは目の前の光景に目を見開いた。
「よ、よかった…!すみません、ありがとうございます…!貴方はスジュナの命の恩人だ…!!」
大袈裟なほど感謝するところも、彼は変わっていないようである。