月夜の翡翠と貴方【番外集】
「会ったらすぐに捕まるの?」
「いや。まだ顔は憶えられてないから、大丈夫だと思うけど。関わりたくないんだよ」
ジェイドは少し考えてから、ぱさ、とフードを被った。
それを見て、ルトが不思議そうな顔をする。
ルトが綺麗だと言ってくれたときから、嫌いだった髪は隠さずにいることが多くなった。
けれど、この髪は目立つから。
…覚えられやすい。
「……どした?」
ルトが、訝しげにこちらを見る。
…せめて、隠さないと。
「……ルトと違って、変装だとか、できないから。この髪は」
他と明らかに違う髪色。
ルトと一緒にいる以上、私も役人を避けなければいけない。
ルトの容姿は、整っているというだけで、珍しいところはないけれど。
私の髪は、目立ち、そして覚えられやすい。
役人にこの髪色を覚えられてしまえば、確実に危険だ。
「………そー、だな。…ごめん」
あ、と思って見上げると、案の定彼は申し訳なさそうに眉を下げていた。