月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…謝る必要なんてないよ。いつも隠してたんだし」
「俺が嫌なんだよ。嫌いだって言って、隠してただろ。けど、最近は隠さないじゃん」
嫌いだって思わなくなったんじゃないの、と言うルト。
…彼は私に、自分の容姿を嫌いだと言って欲しくない、と思っているらしい。
気持ちは嬉しい。
けれど、なにより私はルトが大切だ。
「…確かに、そんなには思わなくなったよ。けど、ルトの迷惑になるなら、隠していたい」
碧の髪から橙の瞳をのぞかせて、ルトを見上げる。
彼は、難しい顔をした。
「…ほんと、ごめんな」
その言葉をきいて、ジェイドは首を横に振る。
「その言葉は欲しくないよ」
深緑を覗き込むと、彼は少しの間ぽかんとした表情を見せた。
そして僅かに悲しそうに眉を下げて、笑った。
「……ありがと」
ジェイドは、ふ、と笑う。