月夜の翡翠と貴方【番外集】
「…私、大好きよ。スジュナちゃんのこと」
スジュナは、私を強く抱きしめた。
「…スジュナも、大好き。おねえちゃん」
私は、笑う。
きっと今、そばで太陽が輝いているのだろうと、思いながら。
*
翌朝。
稽古が始まる前、劇団の皆がせわしなく動き回っているとき。
稽古場の隅で見学していたジェイドとルトのもとへ、気まずそうな顔をしたロゼが歩いてきた。
「どした?」
ルトが不思議そうな顔で、ロゼに声をかける。
…昨日、ふたりはなにを話したのだろう。
教会から戻ってきたルトに訊くと、『まぁ、スジュナちゃんと仲良くする気はあるみたいだよ』と答えただけで、詳しく教えてはくれなかった。
ロゼはその顔に眉を寄せて、ルトと私を交互に見る。
「…ちょっと、ついてきてくれませんか」