月夜の翡翠と貴方【番外集】
そして、その意味に気づいたのか、ぱあっと笑った。
「…うん!!」
スジュナの笑顔に、ロゼはハッとしたような顔をした。
そして、まだ赤い顔を俯かせ、目をきつくつぶる。
ルトが、頭をぽんと、撫でた。
「…よく頑張ったな」
ロゼは、小さく鼻をすする。
思わず団長を見ると、満足気に微笑んでいた。
稽古場に、笑顔が広がる。
優しくて暖かい気持ちが、私のなかにも広がった。
*
そして、昼。
昨日と同じ時間に、ロゼとスジュナは稽古場の中央に立っていた。
劇団員達が、静かに見守っている。
「…では、準備が整い次第、はじめなさい」
団長の言葉に、ロゼがスジュナを見つめる。
スジュナが、こくんと頷いた。
…ふたりの、お互いを見つめる目が、昨日とは明らかに違う。
決意に満ちた、目だった。
ふたりは昨日通り、第一項目から演技をこなしていく。
けれど雰囲気が、違った。
ロゼは安心したような顔をしていて、スジュナは楽しそうで。