月夜の翡翠と貴方【番外集】


…『姉』と、『妹』。


そんな、雰囲気。

そして、第九項目が終わった。


ふたりが向き合い、お互いを見つめる。

スジュナは床に腰を下ろすと、下を向いた。


そして、演技が始まる。


ロゼは昨日と同じように、辺りを見回し始めた。

不安気な顔をして、親友の姿を探す。

そして、スジュナを見つけると、ハッとしたように目を見開いた。


「『…レミール…レミールなの…?』」


スジュナはその声に、顔を上げる。

きょろきょろと辺りを見回し、呟く。

「『その声は、ピスパニラ…?』」

やがてロゼの姿を見つめると、大きく口を開いた。


「『ピスパニラ!』」


ロゼは、口元を手で覆い、大切な親友を見つめた。

そして、昨日呼ぶことのできなかった妖精の名を、少しだけ涙声で叫ぶ。


「『レミール…!』」


この場にいた皆が、息を飲んだ。

ロゼが、床を蹴る。


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