月夜の翡翠と貴方【番外集】
「うわぁぁん…」
その涙が、悲しい気持ちからくるものではないことは、皆わかっているけれど。
思わず、私の視界までにじんだ。
…嬉しいん、だよね。
すごく、すごく、嬉しいんだよね。
近くから、ず、と鼻をすする音がした。
見ると、ラサバがその瞳に涙を浮かべている。
「……っ、うぅ…」
ぽろぽろと、ロゼの肩が涙で濡れる。
スジュナは、一層ロゼの身体を抱きしめた。
ロゼはその声に、目を見開いている。
そして辛そうに、眉を寄せた。
そっと、目をつぶって、スジュナをぎゅ、と抱きしめて。
誰にも気づかれないくらいに、静かに。
…ロゼは、涙を流していた。
*
その後、無事にスジュナの合格が発表された。
ラサバは泣いて喜び、スジュナを抱きしめた。