月夜の翡翠と貴方【番外集】


「うわぁぁん…」


その涙が、悲しい気持ちからくるものではないことは、皆わかっているけれど。

思わず、私の視界までにじんだ。


…嬉しいん、だよね。

すごく、すごく、嬉しいんだよね。


近くから、ず、と鼻をすする音がした。

見ると、ラサバがその瞳に涙を浮かべている。


「……っ、うぅ…」

ぽろぽろと、ロゼの肩が涙で濡れる。

スジュナは、一層ロゼの身体を抱きしめた。

ロゼはその声に、目を見開いている。

そして辛そうに、眉を寄せた。


そっと、目をつぶって、スジュナをぎゅ、と抱きしめて。

誰にも気づかれないくらいに、静かに。


…ロゼは、涙を流していた。







その後、無事にスジュナの合格が発表された。

ラサバは泣いて喜び、スジュナを抱きしめた。



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